WWⅡ時のドイツMaybach社製エンジンの命名規則について
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辞書の方に入れるつもりだったのですが想定よりボリュームが大きくなったので記事にしました。

エンジン出力(通常出力/高出力)

  • NL = Normalleistung (normal performance motor)
  • HL = Hochleistung (high performance motor)

この後ろにおおよその排気量が記される。

例:HL62だと排気量約6.2Lの高出力エンジン

エンジンの設置対象(通常の戦車/駆逐戦車)

  • P = Panzerkampfwageneinbau (tank installation) →通常の戦車用
  • Z = Zerstorereinbau (tank destroyer installation) →駆逐戦車用

ただしこれらの項目が記されているのは一部のモデルのみであった。

例:HL 230 TRM P30 の下線部

エンジンの潤滑方式(ドライサンプ/ウェットサンプ)

  • TR = Trockensumpfschmierung (ドライサンプdry sump)

戦車に一般的に使用されていた(戦車は地上高が低いので)。また一部のハーフトラックにも使われた。

ドライサンプ方式ではオイルサンプはクランクケースの下に設置されておらず、

エンジンから流れてきたオイルはポンプにより別の場所に設置されたタンクに貯められる。

 

  • TU = Tiefer Unterteil ('deep lower part' すなわちウェットサンプ wet sump)

一部のハーフトラックのみこちらを採用していた。

サンプはクランクケースの覆いの下部にボルトで取り付けられていた。

トランスミッション

K = Kupplung or Kupplungsgehäuse (クラッチclutch)

クラッチとギアボックスが直接クランクシャフト先端のフライホイールに接続されている、完全に手動のマニュアルトランスミッション。

全てのハーフトラックはTR,TU方式ともにこちらを採用していた。またI号戦車も初期はこちらを使っていた。

コンプレッサー

R = Riemenantrieb für Luftpresser (belt drive for air compressor)

クラッチ(K)が記されていない場合、ギアはコンプレッサー(R)による圧縮空気圧によってコントロールされる。

 

※筆者はこちらの項目については理解に自信がないので、訂正が必要かもしれません…

イグニッションがマグネトー式かどうか

M = Schnapper-Magnetzündung (マグネトー式点火装置/磁気点火装置)

いくつかのモデルはBosch 12Vマグネトーを使用していた。6及び12気筒エンジンの両方において、マグネトー(とディストリビューター)はフライホイールのスターターリングと接続されていた。

以上の規則を踏まえた表記の例

    • NL38 TRKM = Normal performance 3.8 L / dry sump / clutch / magneto
    • HL57 TRR = High performance 5.7 L / dry sump / pre-selector gearbox (Kなし) / compressor / coil & distributor (Mなし)
    • HL108 TUKRM = High performance 10.8 L / wet sump / clutch / compressor / magneto

    参照;  https://www.revolvy.com/page/List-of-WWII-Maybach-engines?uid=1575

     

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